翻案・演出関根勝からの現状報告 2008年、秋。(後編)
さて、
名古屋の狂言共同社チームは、
9月始めに、一度稽古しようと言うことで、
私が名古屋に出かけ、
(井上)菊次郎さんが使っている稽古舞台で稽古をした。
菊次郎さんは、リア王と同じ目にあってしまうグロスター公、
息子の靖浩が、長男のエドガー役、
そして悪のマスター・マインダー(悪の仕掛け人)役に、佐藤融を配した。
佐藤融は牟田同様に善良な人ゆえ、
なかなか悪役に徹することに抵抗があるようだ。
これに、
今回唯一の素人・稲垣直さんが稽古に加わった。
稲垣さんには、(佐藤融扮する)悪役のエドマンドの家来となり、
自前の甲冑姿で登場してもらうことになっている。
稲垣さんは、稽古舞台と言えども、能舞台に上がるのは初めて。
これから2ヶ月かけて、
摺り足で歩くことを習得してもらう。
名古屋での次の稽古は一ヵ月後であるが、
十分な手ごたえが会ったので、次の稽古が楽しみである。
*
さて、東京のチームであるが、
神戸よりも、名古屋よりものんびりしている。
道化の小山陽二郎は藤原歌劇団の今月のオペラの主役を演じ、
現段階では芝居の稽古どころではない。
土田聡子も10月に自分のコンサートを控えており、
そわそわしている。
それでも、
先日、忠重さんが国立能楽堂公演の申し合わせに東京に来たのを機に、
コーディリア役の土田とリア王役の忠重さんの稽古を二日連続で行った。
二日目は早稲田のホールを借り、
大声を出しての稽古となった。
忠重さんの嵐の場面では、
狂気となったリア王を演じるので、
嵐のように荒れ狂ったリア王の稽古をした。
台詞の細かい言い回しなどの稽古を繰り返し、
間(ま)を取る必要のある場合には、
舞台上で歩いてもらい間を計ってもらった。
私の演劇においても、やはり間は極めて大事だ。
間が台詞を生かすも、殺すもできる。
二日連続の稽古で、
二人に舞台全体が見えてきたようであった。
*
ところで、
9月に入ってから、
音楽監督の甚目さんが、山形の帰りに東京へ立ち寄り、
『オセロ』(2009年6月公演)でビアンカ役を演じてくれるソプラノ・塚原佳奈を連れて来てくれた。
そこに二期会の大御所・ソプラノの蒲原史子さんが友人を連れてやって来て、
プロデューサーの川橋・デザイナーの石川を含めて、パーティとなった。
そこに、
今回、音を担当してくれる大倉正之助さんが、
打ち合わせに現れた。
大倉長十郎(※正之助さんのお父上)さんの
小鼓を昔聞いたことがある。
『姨捨』の時、
笛・藤田大五郎、大鼓・安福春男を相手に小鼓を打ったが、
長十郎さんの小鼓の音に
深く感動したのを覚えている。
正之助さんの中に
長十郎さんにつながる
深く、鋭い感性をみた。
今回の『リア王』は
正之助さんの 一声・一音 で打ち止める事にした。
乞う、ご期待。
*
装束は、
狂言共同社から借用する狂言衣装のほかは、
全て京都の吉田装束店に依頼してあり、
10月末日には出来上がってくる予定である。
*
と…言うわけで、
11月の『リア王』の舞台に向けて、
Theatre Project Si チーム・メンバーは力を合わせ、
着実に準備を進めております。
Theatre Project Si は精一杯の努力をし、
世界に例の無い東西文化融合の舞台を作り出します。
飽きずに、末永く応援、宜しくお願いします。
名古屋の狂言共同社チームは、
9月始めに、一度稽古しようと言うことで、
私が名古屋に出かけ、
(井上)菊次郎さんが使っている稽古舞台で稽古をした。
菊次郎さんは、リア王と同じ目にあってしまうグロスター公、
息子の靖浩が、長男のエドガー役、
そして悪のマスター・マインダー(悪の仕掛け人)役に、佐藤融を配した。
佐藤融は牟田同様に善良な人ゆえ、
なかなか悪役に徹することに抵抗があるようだ。
これに、
今回唯一の素人・稲垣直さんが稽古に加わった。
稲垣さんには、(佐藤融扮する)悪役のエドマンドの家来となり、
自前の甲冑姿で登場してもらうことになっている。
稲垣さんは、稽古舞台と言えども、能舞台に上がるのは初めて。
これから2ヶ月かけて、
摺り足で歩くことを習得してもらう。
名古屋での次の稽古は一ヵ月後であるが、
十分な手ごたえが会ったので、次の稽古が楽しみである。
*
さて、東京のチームであるが、
神戸よりも、名古屋よりものんびりしている。
道化の小山陽二郎は藤原歌劇団の今月のオペラの主役を演じ、
現段階では芝居の稽古どころではない。
土田聡子も10月に自分のコンサートを控えており、
そわそわしている。
それでも、
先日、忠重さんが国立能楽堂公演の申し合わせに東京に来たのを機に、
コーディリア役の土田とリア王役の忠重さんの稽古を二日連続で行った。
二日目は早稲田のホールを借り、
大声を出しての稽古となった。
忠重さんの嵐の場面では、
狂気となったリア王を演じるので、
嵐のように荒れ狂ったリア王の稽古をした。
台詞の細かい言い回しなどの稽古を繰り返し、
間(ま)を取る必要のある場合には、
舞台上で歩いてもらい間を計ってもらった。
私の演劇においても、やはり間は極めて大事だ。
間が台詞を生かすも、殺すもできる。
二日連続の稽古で、
二人に舞台全体が見えてきたようであった。
*
ところで、
9月に入ってから、
音楽監督の甚目さんが、山形の帰りに東京へ立ち寄り、
『オセロ』(2009年6月公演)でビアンカ役を演じてくれるソプラノ・塚原佳奈を連れて来てくれた。
そこに二期会の大御所・ソプラノの蒲原史子さんが友人を連れてやって来て、
プロデューサーの川橋・デザイナーの石川を含めて、パーティとなった。
そこに、
今回、音を担当してくれる大倉正之助さんが、
打ち合わせに現れた。
大倉長十郎(※正之助さんのお父上)さんの
小鼓を昔聞いたことがある。
『姨捨』の時、
笛・藤田大五郎、大鼓・安福春男を相手に小鼓を打ったが、
長十郎さんの小鼓の音に
深く感動したのを覚えている。
正之助さんの中に
長十郎さんにつながる
深く、鋭い感性をみた。
今回の『リア王』は
正之助さんの 一声・一音 で打ち止める事にした。
乞う、ご期待。
*
装束は、
狂言共同社から借用する狂言衣装のほかは、
全て京都の吉田装束店に依頼してあり、
10月末日には出来上がってくる予定である。
*
と…言うわけで、
11月の『リア王』の舞台に向けて、
Theatre Project Si チーム・メンバーは力を合わせ、
着実に準備を進めております。
Theatre Project Si は精一杯の努力をし、
世界に例の無い東西文化融合の舞台を作り出します。
飽きずに、末永く応援、宜しくお願いします。
翻案・演出関根勝からの現状報告 2008年、秋。(前編)
おまたせしました、
大っ変、ごぶさたの主宰関根コラムです!
前後編にわけて掲載します!
今回、
Theatre Project Siの第2弾公演『リア王』(シェイクスピアのKingLearを翻案)を制作するため、
暑い夏のうちから動き始めた。
暑い中、汗をかきかき、頭をかきかき上演台本を準備したが、
台本で一番苦心したのは歌詩でした。
全てを手作りすることと心がけているTheatre Project Siとしては作詞を外注することをせず、
スタッフの中島沙衣子に手伝ってもらい、
二人でとにらめっこをしながら、渋顔を作ったものです。
その間にTheatre Project Siのデザイナーの石川俊介がこつこつと、チラシの制作を進め、
着々と公演準備が進んでいるのに、
歌詩が書けず、
作曲の石川潤一さんから催促され、
プロデューサーの川橋範子からは冷たい目でみられ、
夏枯れした私の頭脳は全く働かず、
寝苦しい夜を幾夜過ごしたか知れない。
それでも、一応台本を書き上げ、
お盆過ぎから稽古をぼちぼち始めた。
今回の主役である善竹忠重さんは、
ご本人の希望で、他の出演者よりも一月以上も早いスタートを切った。
忠重さんには
2007年に『濯ぎ川』で、嫁と姑に虐められる情けない婿の役を、
今年の6月の『ハムレット』では、
夫を殺害して王位に付いた義理の弟と結婚した節操の無い母親役を、演じて頂き、
そして今度は主役だ、
とお喜びのようでしたが、
台本を見た瞬間、
「何じゃこれは? ただのぼけ老人ではないか?
関根さんは私をどう思っているのだろうか?」
と不安になったとか。
とは言っても、忠重さんは力が入ってます。
素晴らしいリア王になってくれると思います。
前回ハムレットを演じた、忠亮は、
やはり、私との舞台の経験があるので神戸チームの中では抜きん出ている。
牟田・岡村・前川はみな忠重さんのお弟子さんたちで、
役どころとしては、リア王を虐める腹黒い娘たち。
中でも牟田は性格がまじめで、おとなしい。
その牟田に対して、次女の役を与え、
日頃の稽古の恨みを晴らすように、師匠の忠重さんを虐めよと言うが、
なかなか師匠をひどい目に合わせることに躊躇があるようだ。
牟田の演技指導に関しては、
世阿弥が唱えている「離見の見」を体得することを要求している。
そして「山の手、宮中の意地悪女性のようになること」
つまり、自分の意地悪がどれほど相手を苦しませているかを見ながら加減をし、
猫が生きたねずみをいたぶるようにせよ、と。
イギリスにはBear Baiting(熊虐め)と言う娯楽があった。
シェイクスピアの劇が上演されたと同じ劇場で、熊虐めが行われた。
それは熊を劇場の土間に埋め込んだ鉄棒に鎖で縛りつけ、犬をけしかけて戦わせる。
ローマ人ほどではないが、血を見て興奮する娯楽だった。
リア王の忠重さんが熊で、忠重さんの弟子たちはみな犬になったつもりで稽古をすることになる。
公演の時にどのようになっているか、
お楽しみ。
(後編へつづく・・・)
大っ変、ごぶさたの主宰関根コラムです!
前後編にわけて掲載します!
今回、
Theatre Project Siの第2弾公演『リア王』(シェイクスピアのKingLearを翻案)を制作するため、
暑い夏のうちから動き始めた。
暑い中、汗をかきかき、頭をかきかき上演台本を準備したが、
台本で一番苦心したのは歌詩でした。
全てを手作りすることと心がけているTheatre Project Siとしては作詞を外注することをせず、
スタッフの中島沙衣子に手伝ってもらい、
二人でとにらめっこをしながら、渋顔を作ったものです。
その間にTheatre Project Siのデザイナーの石川俊介がこつこつと、チラシの制作を進め、
着々と公演準備が進んでいるのに、
歌詩が書けず、
作曲の石川潤一さんから催促され、
プロデューサーの川橋範子からは冷たい目でみられ、
夏枯れした私の頭脳は全く働かず、
寝苦しい夜を幾夜過ごしたか知れない。
それでも、一応台本を書き上げ、
お盆過ぎから稽古をぼちぼち始めた。
今回の主役である善竹忠重さんは、
ご本人の希望で、他の出演者よりも一月以上も早いスタートを切った。
忠重さんには
2007年に『濯ぎ川』で、嫁と姑に虐められる情けない婿の役を、
今年の6月の『ハムレット』では、
夫を殺害して王位に付いた義理の弟と結婚した節操の無い母親役を、演じて頂き、
そして今度は主役だ、
とお喜びのようでしたが、
台本を見た瞬間、
「何じゃこれは? ただのぼけ老人ではないか?
関根さんは私をどう思っているのだろうか?」
と不安になったとか。
とは言っても、忠重さんは力が入ってます。
素晴らしいリア王になってくれると思います。
前回ハムレットを演じた、忠亮は、
やはり、私との舞台の経験があるので神戸チームの中では抜きん出ている。
牟田・岡村・前川はみな忠重さんのお弟子さんたちで、
役どころとしては、リア王を虐める腹黒い娘たち。
中でも牟田は性格がまじめで、おとなしい。
その牟田に対して、次女の役を与え、
日頃の稽古の恨みを晴らすように、師匠の忠重さんを虐めよと言うが、
なかなか師匠をひどい目に合わせることに躊躇があるようだ。
牟田の演技指導に関しては、
世阿弥が唱えている「離見の見」を体得することを要求している。
そして「山の手、宮中の意地悪女性のようになること」
つまり、自分の意地悪がどれほど相手を苦しませているかを見ながら加減をし、
猫が生きたねずみをいたぶるようにせよ、と。
イギリスにはBear Baiting(熊虐め)と言う娯楽があった。
シェイクスピアの劇が上演されたと同じ劇場で、熊虐めが行われた。
それは熊を劇場の土間に埋め込んだ鉄棒に鎖で縛りつけ、犬をけしかけて戦わせる。
ローマ人ほどではないが、血を見て興奮する娯楽だった。
リア王の忠重さんが熊で、忠重さんの弟子たちはみな犬になったつもりで稽古をすることになる。
公演の時にどのようになっているか、
お楽しみ。
(後編へつづく・・・)
主宰・関根勝 近況報告 その1
1月末から3月末までOxfordに出張し、Keble Collegeの O’Reiley Theatre で『恋の骨折り』を3月4−6日にわたり3回上演しました。その後、ローマに行って6月公演予定の『ハムレット』に旅芸人として出演するルーカ・モレッティとフランチェスコ・デ・ドミニチスの稽古を済ませ、さらにOxfordに戻り、もう一人の旅芸人パミーナ・ボウの稽古を済ませて、帰国しました。
帰国早々、次回の公演『リア王』の出演依頼・説明のために名古屋に行き、和泉流の井上菊次郎さん、佐藤融さんと会ってきました。準備台本をお渡しし、役柄の説明をし、稽古日程の調整をしてきました。佐藤融さんは『リア王』の中の悪役Edmundの大役に、「できるのかな?」とはおっしゃっていましたが、闘志を燃やしておられました。菊次郎さんの円熟した演技と、融さんの知的な演技が大いに期待できます。
6月公演の『ハムレット』の方は、出演者全員との一度の打ち合わせは済んでいまして、これより本格的な稽古に入ります。3日にはアリアの作曲家石川潤一さんとソプラノのオペラ歌手・土田聡子さんと打ち合わせをします。4日には、大阪の千里で大蔵流狂言方の善竹忠重さん、忠亮さん親子と二回目の稽古を行います。忠亮さんは『ハムレット』の主役で、イケメンの実力派の若手狂言師です。立ち姿が涼しく、美しい好青年であり、将来が楽しみな役者。苦悩する若きプリンスを上演するにいたるまで、忠亮君とは凌ぎを削りながらの稽古になるでしょう。 楽しみです。
忠重さんはこれまで古典狂言一本でやってこられた方です。6月公演予定の『ハムレット』では母親役のガートルードを演じますが、新劇と狂言の中間的な演技を要求するので、かなり躊躇われるのではないかと危惧するところです。
今回の『ハムレット』公演では舞台上での東西文化の融合を狙っていきます。西洋の古典文化の粋を極めたオペラを狂言に入れることで、どのような変化が舞台に起こるか? 音楽が狂言に持ち込まれたということになり、その表現は狂言の域を超え、自由となり、無限の可能性を引き出してくれると確信しています。オペラの音楽性が狂言に加えられることで、6月の『ハムレット』は、これまでの単一の演劇ジャンルでは見られなかったような、深い悲しみの中に、感動を伴う、豊かな舞台にしたいと思っています。
何もない空間に悲劇を創造することの楽しさは無限大。当然、自己の葛藤・役者との葛藤・プロデューサーとの葛藤などなどいろいろな葛藤が待ち構えています。しかし苦しみを乗り越えて、舞台を作ることには底知れぬ快感がある。この快感を皆様と共有したい。
帰国早々、次回の公演『リア王』の出演依頼・説明のために名古屋に行き、和泉流の井上菊次郎さん、佐藤融さんと会ってきました。準備台本をお渡しし、役柄の説明をし、稽古日程の調整をしてきました。佐藤融さんは『リア王』の中の悪役Edmundの大役に、「できるのかな?」とはおっしゃっていましたが、闘志を燃やしておられました。菊次郎さんの円熟した演技と、融さんの知的な演技が大いに期待できます。
6月公演の『ハムレット』の方は、出演者全員との一度の打ち合わせは済んでいまして、これより本格的な稽古に入ります。3日にはアリアの作曲家石川潤一さんとソプラノのオペラ歌手・土田聡子さんと打ち合わせをします。4日には、大阪の千里で大蔵流狂言方の善竹忠重さん、忠亮さん親子と二回目の稽古を行います。忠亮さんは『ハムレット』の主役で、イケメンの実力派の若手狂言師です。立ち姿が涼しく、美しい好青年であり、将来が楽しみな役者。苦悩する若きプリンスを上演するにいたるまで、忠亮君とは凌ぎを削りながらの稽古になるでしょう。 楽しみです。
忠重さんはこれまで古典狂言一本でやってこられた方です。6月公演予定の『ハムレット』では母親役のガートルードを演じますが、新劇と狂言の中間的な演技を要求するので、かなり躊躇われるのではないかと危惧するところです。
今回の『ハムレット』公演では舞台上での東西文化の融合を狙っていきます。西洋の古典文化の粋を極めたオペラを狂言に入れることで、どのような変化が舞台に起こるか? 音楽が狂言に持ち込まれたということになり、その表現は狂言の域を超え、自由となり、無限の可能性を引き出してくれると確信しています。オペラの音楽性が狂言に加えられることで、6月の『ハムレット』は、これまでの単一の演劇ジャンルでは見られなかったような、深い悲しみの中に、感動を伴う、豊かな舞台にしたいと思っています。
何もない空間に悲劇を創造することの楽しさは無限大。当然、自己の葛藤・役者との葛藤・プロデューサーとの葛藤などなどいろいろな葛藤が待ち構えています。しかし苦しみを乗り越えて、舞台を作ることには底知れぬ快感がある。この快感を皆様と共有したい。
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